本書は自作キーボード基板であるYM60Aのビルドガイドです。キーボードとして利用可能になるまでの手順を初心者向けに丁寧に記載したつもりですが、不明な個所などある場合は適時検索するなどして補ってください。
申し訳ないのですがYM60A固有でない一般のご質問にはお答えできません。各自お調べください。
キーボード自作経験者向け: 必要なことはCherry MX用スイッチソケットの調達とそのはんだ付けだけです。ファームウェアはQMKが書き込み済みで、キーマップ変更はVialに対応しています。これでわかればここから先を読む必要はありません。
YM60Aは本体となる基板とキースイッチ固定用のトッププレートのセットです。しかし、これだけではキーボードとして使うことができません。その他必要な部品を別途調達いただく必要があります。
品目 | 数量 |
---|---|
YM60A 基板 | 1 |
YM60A トッププレート | 1 |
下記部品は国内外の自作キーボード専門店や電子部品販売店などから別途調達してください。
品目 | 数量 | 備考 |
---|---|---|
MX互換キースイッチ | 66 | Cherry MXもしくはその互換品 |
MX互換スイッチソケット | 66 | Kailh PCB Socket CPG151101S11もしくはその互換品 |
MX互換キーキャップ | - | Cherry MXもしくはその互換品 |
2uサイズPCBマウント型スタビライザー | 3 | 幅の広いキーの押し下げを安定させる部品です。Backspaceキー、左Shiftキー、Enterキーに用います |
2u or 3uサイズPCBマウント型スタビライザー | 1 | 幅の広いキーの押し下げを安定させる部品です。スペースキーに用います。3uスタビライザーと3uスペースキーの組み合わせが推奨です。2uスタビライザーと2.75uスペースキーの組み合わせでも代用可能ですが、隙間が空きます |
Poker互換60%サイズキーボードケース) | 1 | Poker互換、60%、GH60対応品、などと称して販売されているトップマウント型のケースが利用できます(※すべてのケースで完全な互換性を保証するものではありません) |
必要なキーキャップとそのサイズは下図の通りです。キーのサイズは正方形のキーの幅を「1u」と呼称します。2uであれば1uの2倍の幅のキーであることを示します。幅は0.25u刻みで様々なサイズがあります。
このうち、標準的なANSI/ISOレイアウト向けのキーキャップセットに含まれていないか、オプション扱いであることが多い注意すべきキーは次の通りです。オプションを購入するか、同じサイズの別の印字のキーキャップで代替してください。
行 | サイズ | 初期レイアウトの対応キー名 |
---|---|---|
R4 | 2u | 左Shiftキー |
R4 | 1u | 「ろ」の位置のキー |
R4 | 1u | 右Shiftキー |
R5 | 1.25u | 無変換、変換、Fn |
R5 | 3u | スペースキー |
スペースキーは3uが推奨ですが、3uのスペースキーを用意できない場合は2.75uや2.25uでも代用できます(ただし左右に隙間が空きます)。
品目 | 数量 | 備考 |
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はんだごて、はんだ | 1 | スイッチソケットのはんだ付けに用います。はんだごては調温機能付きのものを、はんだは鉛入りのものを推奨します |
ピンセット | 1 | スイッチソケットのはんだ付けの際にあると便利です |
ねじ回し(プラス) | 1 | 基板をケースに固定する際に用います |
スイッチソケットは基板の裏面(ICチップ等が実装されている面)に取り付けます。L字状のガイドが白線でキー数分印刷されていますので、そのすべてにスイッチソケットをはんだ付けします。
ICチップ近辺のソケットをはんだ付けする際は、はんだごてで電子部品をを焼いてしまわないように気を付けてください。
すべてのスイッチソケットが基板に密着しており、ソケット両端とも漏れなくはんだ付けされているか確認してください。基板から浮いていたり、はんだ付けができていないとキースイッチの動作不良の原因になります。
Caution
最上段の右端2つ、2段目左端の3つだけ、スイッチソケットの向きが上下逆になっているので注意してください。
Warning
スイッチパッドセットを購入した場合は、スイッチパッドを基板表面の上に敷き、その上からスタビライザーの取り付けを行ってください。
スタビライザーは基板の表面(ロゴが印刷されている面)に取り付けます。
左ShiftキーとEnterキーに2uサイズを、スペースキーに3uサイズ(2.75u以下のキーを代用する場合は2uサイズ)のスタビライザーを取り付けます。取り付け方はスタビライザーごとに異なりますが、一般には大きい穴の方にツメを引っかけ、小さい穴の方にプッシュピンを差し込む、もしくはネジ留めを行います。
キースイッチはトッププレートを通して基板のソケットに差し込みます。すべてのキースイッチを一度に取り付けてしまうと基板に差し込むのが大変なので、まずトッププレートの四隅にキースイッチを取り付けて基板に差し込み、その後残りのスイッチを取り付けていくのがおすすめです。
Note
スイッチパッドにはキースイッチのピン部分の穴は開いておりません。キースイッチのピン自身で簡単に穴を開けられますので、そのまま押し込んでください。
Poker互換ケースにはネジ穴が6つほどあることが多いですが、本基板で利用できるのはそのうち4つのみとなります(中央と右下のネジ穴は使えません)。また、各ケース微妙にネジ穴やUSBコネクタ用穴の位置が異なるため位置が合わないことがありますが、その場合は留められる穴だけネジ留めしておけば問題ありません。
また、一部のプラ製ケースなどでは構造が基板底面近くまでせり出しているものがあります。本基板はスイッチソケット分の厚みが基板底面から1.8mm程度ありますので、そのような構造と干渉することがあります。ケース側を加工するか、長めのネジに交換するなどの対応をしてください。
基板をケースに取り付けられれば完成です!
お使いのコンピュータのUSB 2.0に対応したUSBコネクタと接続してください。即時利用できるはずです。
Note
スイッチパッドを使用した場合、スイッチのピンで穴を開けた際の切れ端がソケットの接点を塞ぎ、スイッチの接触が悪くなることがよくあります。キーの反応が悪い場合はスイッチを何度か差し直してみてください。
本キーボードはVialというキーマップ変更ツールに対応しています。Vialの詳しい使いかたはVialのドキュメントや世間の情報を参考にしてください。
本キーボードの初期レイアウトに漢字キーの割り当てはありません。その代わり、スペースキーの左側のキーをImeOffキーに、右側のキーをImeOnキーに割り当てています。ImeOnキーとImeOffキーはWindows 10 1903以降でMicrosoft IMEを使用している場合に利用可能です。漢字キーが必要な場合はレイアウトをカスタマイズして任意のキーに割り当ててください。
参考: キーボード日本 - ImeOn / ImeOff の実装 | Microsoft Learn
RP2040のブートモードに入るには、左上のキー(Escキー)を押しながらUSBケーブルを接続します。
もしくは、基板裏面のBOOTスイッチを押しながらUSBケーブルを接続します。
本リポジトリ内で公開しています。
https://github.com/ymkn/YM60A/blob/main/firmware/QMK/ymkn_ym60a_vial.uf2
本リポジトリ内で公開しています。MITライセンスです。